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高齢者はなぜ自宅から熱中症で搬送されるのか? ~計算科学と熱中症搬送者統計データの融合による科学的な裏付けに向けて~

カテゴリ:プレスリリース|2021年07月13日掲載


発表のポイント

〇 名古屋市消防局が取得したデータにより、高齢者の熱中症発症過程を推定
〇 高齢の熱中症搬送者の3割以上は、体温調節機能が著しく低下している可能性
〇 脱水を伴う熱中症は、1日ではなく、数日間の蓄積によって生じることを確認

概要

 名古屋市消防局と名古屋工業大学の研究グループ(大学院工学研究科電気?機械工学専攻?平田晃正教授(先端医用物理?情報工学研究センター長)、小寺紗千子特任准教授、高田旭登氏(工学専攻電気?機械工学系プログラム大学院生))は、2020年より熱中症搬送者のデータの分析に関する共同研究を開始しました。その一環として、名古屋市消防局が取得した熱中症と考えられる搬送者ビックデータと名古屋工業大学が開発した人体温熱シミュレーション技術を融合することにより、高齢者が熱中症を発症するメカニズムについて、横浜国立大学の協力を得て分析しました。
 名古屋市消防局が取得した過去2年分(2019年,2020年)の救急搬送者のビックデータ(体温(腋の下)、発生場所、時刻)に基づき、名古屋工業大学では大規模数値シミュレーション解析により、患者個々人の体温上昇を比較することで、熱中症を発症する高齢者の少なくとも3割以上の方に著しい体温調節機能の低下あるいは重度の脱水が生じることを科学的に裏付けました。また、脱水症状を伴う熱中症は、1日に想定される発汗量から、数日間の脱水の蓄積によって生じることが示唆されました。今後、得られた知見を熱中症リスク低減に向けた啓発活動に活かしていく予定です。

研究の背景

 熱中症による救急搬送人員数は、年々増加傾向にあります。今後の人口減少社会においても、温暖化と高齢化が相まって、熱中症救急出動件数や患者数はさらに増加することが予測されています。2020年より環境省による熱中症リスクアラートを始め、多岐の啓発活動がなされているものの、搬送者の十分な減少には至っていません。このような中、個々人の熱中症に関する理解を深め、そのリスクを低減する方法を模索する必要があります。
 名古屋工業大学の研究グループでは、50を超える組織構成を考慮した詳細な人体モデルを対象とした大規模シミュレーションによる発汗量、体温上昇の推定技術を開発してきました。体形および温熱生理現象を考慮し、現実的な環境での体温および発汗を再現、高齢者の加齢に伴う発汗量の減少に伴うリスクの増加、幼児の体形の相違によるリスクなどを分析してきました[1,2]。また、解析技術を応用して、Webベースの普及啓発ツール熱中症セルフチェック[3](日本気象協会推進「熱中症ゼロへ?」プロジェクト)の開発および個々人のリスクモニタリング手法開発[4](NTT hitoe)などに協力してきました。
 2020年7月より名古屋市消防局と共同研究を開始、ビッグデータと計算科学の融合により、気象情報および人口動態を考慮に入れた、行政区ごとのより細やかな熱中症搬送者数予測技術の開発[5]、今後の救命救急体制のさらなる改善、普及啓発を見据えた取り組みに応用してきました。
 従来の研究では、熱中症搬送者数や症状のみが着目されてきましたが、搬送者の55%を占める高齢者が、自宅で熱中症に至る過程については、不明な部分が多く存在していました。この状況を科学的に解釈することができれば、具体的な対策に繋がることが期待されます。

研究内容

 名古屋工業大学研究グループは、名古屋市消防局から提供されたビックデータを分析しました。2019年、2020年の名古屋市における熱中症搬送者数は2,513人でした。その中から、2019年5月1日~9月30日、2020年5月1日~8月31日の65歳以上の熱中症搬送者を解析対象として抽出しました。解析対象は1,299人、そのうち、55.5%が自宅で熱中症を発症していることが確認できました。
 その搬送者を対象とし、体温(腋の下)、発生場所、搬送日時、および搬送日の朝から搬送時刻までの気象データから、深部体温、発汗を大規模数値シミュレーションにより再現し、実際の搬送時の体温と比較しました。ここで、救急搬送時の測定体温が37°C以下であった搬送者(1,299人中437人)については、応急処置(冷却剤や氷などによる冷却)による影響が大きいとされるため、解析対象から除外しました。なお、日本の典型的な家屋では、住宅建材の種類にもよりますが、一般的に(エアコン等をほとんど使用しない場合)、4時から19時までは外気温よりも室温が数度低くなり、その後、外気温より室温のほうががわずかに高くなります[6]。このため、より変動の大きな外気温を入力パラメータとして近似しました。
 健常な成人、65歳、75歳を対象としたモデルを対象に、2020年8月の体内深部温度および体表面温度を解析した結果を図1に示します。図より、一般的な高齢者の体温調整機能を再現した場合では、真夏の屋内では深部体温は、38°C以下であるのに対し、実際の搬送時には体温が38°C以上の患者が42%を占めていました。

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図1 (a)2020年8月の体温変化、(b)8月15日14時の体表面温度

 
 次に、実際に熱中症を発症した65歳以上の各搬送者の状況を計算機で再現し、標準的な高齢者の発汗とした場合、発汗を全くしていないと仮定した場合の深部温度を推定しました。搬送時に測定された体温と、計算による深部体温の比較を図2に示します。標準的な発汗を模擬した場合(図2左)より、発汗がない場合(図2右)のほうが、実際の搬送時の体温とよく一致し、暑さの知覚を含む体温調節機能が著しく低下している可能性を示唆しました。

F2.jpg

図2 搬送時に測定した体温と計算による深部体温の比較。(左)標準的な高齢者の発汗を模擬、(右)発汗を全くしていないと仮定。

 また、健常な体温調整機能であると仮定した場合、搬送者の状況から推定される搬送当日の汗の量は、最大でも500g(不感蒸散を除く)程度であり、体重の1%未満であること、食事により一定の水分を取得していることを考えると、脱水症状は、その当日のみが影響して生じるのではなく、数日間の水分蓄積によって引き起こされることが示唆されました。これは、当研究グループで以前得られた知見[7]とも一致しています。

社会的な意義

 本研究によって、これまで科学的知見が不足していた日本の住宅環境における高齢者の熱中症発症メカニズムの一部が明らかになりました。本研究では、体感以上に暑さを感じる機能が低下している方が多いこと、のどが渇いていなくても数日間にわたって少しずつ脱水症状になっていることを科学的に裏付けました。これらの結果から、"暑いと感じていなくても、のどが渇いていなくても、"温度計(室温計)などを活用した積極的な暑さ対策やこまめな水分補給が必要であることに加え、本人が自覚していない可能性があるため、客観的データに基づき、周りからの呼びかけが重要であることを示すことができました。

プレスリリース情報および関連主要論文

[1] A. Hirata*, T. Nomura, and I. Laakso, "Computational estimation of body temperature and sweating in the aged during passive heat exposure," International Journal of Thermal Sciences, vol.89, no.3, pp.154-163, Mar. 2015.
[2] 気象データと連動した熱中症リスク評価システムの開発 ~幼児60分で熱中症リスク、真夏にアスファルトの歩行~ 2016年07月26日
/news/press/2016/4863.html
[3]「熱中症セルフチェック」を初公開!~熱中症対策を「自分ごとに」~ 2017年4月25日
/news/press/2017/5676.html
K. Kojima, A. Hirata*, K. Hasegawa, S. Kodera, I. Laakso, D. Sasaki, T. Yamashita, R. Egawa, Y. Horie, N. Yazaki, S. Kowata, K. Taguchi, and T. Kashiwa, "Risk management of heat stroke based on fast computation of temperature and water loss using weather data for exposure to ambient heat and solar radiation," IEEE Access, vol.6, pp.3774-3785, 2018.
[4] 温熱生理学に基づいた暑熱による体調不良リスクの推定?アラート手法を開発~暑熱環境下で働く作業者の安全安心をめざして~ 2020年11月13日
https://www.ynu.ac.jp/hus/koho/24807/34_24807_1_1_201113045318.pdf
[5] 名古屋市行政区ごとの熱中症搬送者数予測技術の開発 ~熱中症搬送者数は今週から増加が見込まれます~ 2020年07月22日
/news/press/2020/8429.html
T. Nishimura, E. A. Rashed, S. Kodera, H. Shirakami, R. Kawaguchi, K. Watanabe, M. Nemoto, and A. Hirata "Social Implementation and Intervention with Estimated Morbidity of Heat-Related Illnesses from Weather Data: A Case Study from Nagoya City, Japan," 2021.(掲載予定)
[6] 堀越哲美"日本の住宅の室内気候の実態 -温熱環境と季節変動"学術の動向, vol.24, no.8, pp.50-58, 2019.
[7] 気象データを使って熱中症搬送者数を予測 ~高齢者の熱中症リスク、連続3日間の熱の蓄積が影響していることを科学的に証明~ 2019年7月17日
/news/press/2019/7579.html
S. Kodera, T. Nishimura, E. Rashed, K. Hasegawa, I. Takeuchi, R. Egawa, and A. Hirata*, "Estimation of heat-related morbidity from weather data: a computational study in three prefectures of Japan over 2013-2018," Environment International, vol.130, article no. 104907, Sep. 2019.

?プレスリリース資料の詳細は、下記のページをご覧ください。
先端医用物理?情報工学研究センター

お問い合わせ先

研究に関すること

【研究全般について】
名古屋工業大学大学院工学研究科
電気?機械工学専攻
教授 平田 晃正
TEL:052-735-7916
e-mail : ahirata[at]nitech.ac.jp

【熱中症搬送者データについて】
名古屋市消防局救急部救急課救急係
担当:石倉?丹羽?清水
TEL: 052-972-3552

広報に関すること

名古屋工業大学 企画広報課
Tel: 052-735-5647
E-mail: pr[at]adm.nitech.ac.jp

*それぞれ[at]を@に置換してください。


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